今月の随想録

折々の師走

せいろ蒸し

師走

 

年末から年始にかけて様々なお菓子を作ります。

 

数もさることながら種類も豊富です。それもこの時期には様々な伝統行事やイベントが開催されることと無関係ではありません。その中で、今回はお供え餅に焦点を当ててみたいと思います。

 

餅は餅屋という言葉がありますが、当社は菓子屋です。

 

餅屋と菓子屋はどう違うのでしょう。

俗っぽい呼び方をすれば「だんご屋」と「まんじゅう屋」とも呼ばれます。実は明確な定義や業界の取り決めなどはありません。「ウチは餅屋だ」と言えば餅屋ですし、「ウチは菓子屋だ」と言えば菓子屋です。というわけで、当社がお餅を作ることが正当化されたわけです。

 

しかし、当社のお供え餅若しくは鏡餅の作り方は、今日日の餅屋さんの作り方とは全く異なります。よく量販店で目にする真空パックされたお供えは、搗き上がったお餅を型に流して固めて作ります。実はこの作り方、50年前の餅屋さんが見たら目を丸くして驚くと思われます。機械化される前のことですが、職人が総出で搗き上がった熱いお餅を秤にのせ、手で包み込みながら表面をきれいにし、それを作業台にのせ頭を押さえ両手で挟んで揉み上げてかたちを整えるという手間暇かけて作るが当たり前だったからです。

 

私は始めに今日日の餅屋さん作り方とは違うと書きましたが、本職の餅屋さんの方が変化していたのでした。

 

ハイその通り、当社は手作りを今でも続けています。

ですから、正月七日の松が開けるまでお供えしていると割れたりカビが来たりします。そのお供え餅を当社に持ち込んで頂くと、きれいに搗き返して切り餅などに加工してお渡し致します。ここまでやって、ようやく鏡開きにたどり着くわけです。

 

最後にもう一つだけ付け加えさせてください。お客様によっては、餅米を持ち込んでお供え餅や切り餅にして欲しいとご依頼なさるお客様がいらっしゃいます。当社はそういうご要望にもできるだけお答えするようにしています。

 

変わって欲しくない日本の伝統の一つだと思っています。